Safety安全にお使いいただくために
安全点検のすすめ
点検の目的
住宅用分電盤は24時間365日家庭内で使われている電気を常に監視し、使い過ぎや漏電等の異常が発生した際には、自動的に電気を遮断し火災を未然に防いでいます。
住宅用分電盤も冷蔵庫や洗濯機のような家庭用電気機器と同様、内部に電子機器などが使われており、経年劣化(時間の経過によって品質が低下すること)により故障する場合があります。
故障のしかたによっては、電気を使いすぎていたり、漏電や短絡(ショート)が発生してもブレーカが動作せず、電気の遮断ができず大きな事故につながるおそれがあります。
また、故障をしても家庭内に電気を分配する機能に異常がない場合は、なかなか故障に気が付くことができません。
そのため、定期的な安全点検を実施することにより、故障に早めに気づくことができ、大きな事故を未然に防ぐことができます。
また、日頃より住宅用分電盤の位置やかたちを覚えておくことで、災害時や停電時に迅速な行動をとることが可能になります。
年に1度は定期点検を実施しましょう。
(一社)日本配線システム工業会では11月11日を配線器具の日として定め、毎年9月1日~11月30日を配線器具・分電盤安全点検運動期間として、安心・安全・快適な暮らしのために分電盤や配線器具の定期的なチェックをおすすめしています。
点検の前の準備
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自分の家の住宅用分電盤がどこに設置されているか確認してください。
- 設置されている可能性の高い場所
- 玄関(扉と天井の間)、洗面室、キッチン、下足入れ、シューズインクローゼットなど目立たない場所に設置されていることも
あります。
*高い場所に設置されている場合も多いので、その場合には脚立や踏み台を用意してください。
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ブレーカを動作させる(停電する)点検もありますので、できるだけ昼間の明るいときに点検を実施されることをお勧めします。
(夜間に実施する場合や停電すると暗くなる場所に設置されている場合は懐中電灯等準備されることをお勧めします。)住宅内の家電製品を停電してもよい状態にしてください。
(電源をコンセントから抜く、予約録画など予約が消えないか消えても再設定できるよう準備して下さい。) -
住宅用分電盤に扉(フタ)がついている場合は説明書などで開け方をご確認ください。
(扉(フタ)を開けても感電するような部分は露出いたしませんのでご安心ください。)
点検項目
点検は大きく分けて以下の4点です。
- 外観の点検
- 分岐ブレーカの点検
- 主幹ブレーカの点検
- 主幹ブレーカの動作確認
*図は扉(フタ)付サービスブレーカなしの分電盤で、扉(フタ)を開けた状態です。
点検方法
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- 外観の点検
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分電盤全体をよく観察して下記3つを確認してください。
- 破損、ひび割れ、変形
- 表面の焦げ
- 異常な音
分電盤に軽く触れて下記をご確認ください。
*扉(フタ)のない住宅用分電盤は誤ってブレーカをOFFやONしないよう気をつけてください- 表面が異常に熱くなっていないか
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- 分岐ブレーカの点検
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分電盤の扉(フタ)を開けて主幹・分岐ブレーカが確認できるようしてください。
コード短絡保護機能がついているか確認してください。
*分岐ブレーカが白いタイプであれば機能を有しています。
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- 主幹ブレーカの点検
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分電盤の扉(フタ)を開けて主幹・分岐ブレーカが確認できるようしてください。
- 漏電ブレーカか確認してください。
*漏電ブレーカの表記やテストボタン、リセットボタンが表面にあればれ漏電ブレーカです。 - 過電圧保護機能はついているか確認してください。
*ブレーカの表面に「単三欠相保護機能付」の記載があれば機能を有しています。
- 漏電ブレーカか確認してください。
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- 主幹ブレーカの動作確認
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*正常動作の場合停電しますので確認前に停電してもよい状態にしてください。
主幹ブレーカのテストボタンを押して主幹ブレーカが「OFF・切れる」になることを確認する。
点検チェックリスト
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外観の点検
点検項目 点検方法 正常 異常 住宅用分電盤が破損・ひび割れ・変形していませんか?
分電盤全体を観察する 破損・ひび割れ・変形なし 扉や本体が破損・ひび割れ・変形している 住宅用分電盤の表面が焦げていませんか?
分電盤全体を観察する 焦げなし 焦げている 住宅用分電盤から異常な音がしませんか?
分電盤全体を観察する 異音なし 異常な音がする 住宅用分電盤の表面が熱くなっていませんか?
分電盤に軽く触れ観察する 熱くない・暖かい 熱い 住宅用分電盤が濡れていませんか?
分電盤全体を観察する 水分が付着した痕跡がない 水分が付着した痕跡がある -
分岐ブレーカの点検
点検項目 点検方法 交換推奨 コード短絡保護機能は、付いていますか?分岐ブレーカの色を確認してください。
白色…機能を有している 黒色…機能を有していない -
主幹ブレーカの点検
点検項目 点検方法 交換推奨 漏電ブレーカは、付いていますか?
主幹ブレーカの表示を確認
・「漏電遮断器」または「漏電ブレーカ」の表記
・テストボタンの有無表記なし
テストボタンなし過電圧保護機能は、付いていますか?
主幹ブレーカの表示を確認 ・「単三中性線欠相保護付」の表記
表記なし
機能を有していない -
主幹ブレーカの動作確認
点検項目 点検方法 交換推奨 主幹ブレーカの遮断機能
※注意※
主幹ブレーカが正常に動作する(OFF,切)と停電します主幹ブレーカのテストボタンを押す
主幹ブレーカが動作する(OFF、切)主幹ブレーカが動作しない(ON、入)のまま
交換の目安
長い間使っていると、使用の度合いにより品質が低下し、安全性を損なって事故につながります。
住宅用分電盤の交換の目安は13年です!
住宅用分電盤に内蔵されているブレーカは製造後約13年とされています。
(一般社団法人 日本電機工業会「住宅用分電盤用遮断器の更新推奨時期に関する調査報告書(平成8年3月)より」)
次のような現象があったら大変危険ですので、速やかにお近くの電気工事店にご相談のうえ、点検・交換をお願いします。
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表面が触れないほど熱い、表面が焦げている、または焦げ臭いにおいがする。
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扉や本体が破損、ひび割れ、または変形している。
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テスト釦を押しても動作しない
主幹ブレーカが頻繁に落ちる。 -
水分が付着した痕跡がある。
古い分電盤では電気事故を防げない可能性があります。またブレーカがよく落ちることがあります。
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漏電ブレーカが付いていない。
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コード短絡保護がない。
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分岐回路数が不足している。
これらの現象がみられない場合でも、住宅のリフォームやリノベーションの機会には、分電盤の交換をお勧めします。
住宅用分電盤の交換工事は、法律で有資格者に限定されているため、お近くの電気工事店にご相談ください。
停電したときの対処方法(スマートメーター設置の場合)
電気が消えた(停電発生)
自宅のみ停電している場合
住宅用分電盤を以下のように確認してください。
隣近所も停電している場合
懐中電灯など準備して復旧を待ってください。
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住宅用分電盤の主幹ブレーカが「入」になっている
- 原因
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スマートメーターが電気を遮断している可能性があります。
※スマートメーターは以下のような動作をします。
- 契約しているアンペア容量を超えた場合にスマートメーター内部にあるリミッターが作動し電気の供給を自動で止めます。
- リミッターの動作により電気の供給が止まると約10秒後には電気の供給が自動で再開されます。
- 電気の供給が再開したとき契約アンペア容量を超えていると再度電気の供給が自動で止まります。
- この動作を複数回繰り返すと異常と判断し停電したまま自動で復旧することがなくなります。
この場合は完全に電気の供給が止まってしまい自動で復旧することはありませんので契約している電力会社に連絡をして電気供給の復旧を依頼する必要があります。
- 対処方法
- ①~④の動作を繰り返している間に消費電力の大きな電気機器(例えばホットプレートなど)の電源をコンセントから抜いて電気の使用を少なくしてください。
電気供給が復旧しない場合は契約している電力会社に連絡をして電気供給の復旧を依頼してください。
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住宅用分電盤の主幹ブレーカが「切」になっている
- 原因
- 漏電している可能性がある
- 対処方法
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- すべての分岐ブレーカを「切」にする。
- 主幹ブレーカを「入」にする。
- 分岐ブレーカを1つずつ順に「入」にして、主幹ブレーカが「切」になった場合その分岐ブレーカは「切」のままにしておく。
すべての分岐ブレーカを「入」にしても主幹ブレーカが「切」にならなければ様子を見てください。
頻繁に主幹ブレーカが「切」になる場合は漏電している可能性が高いので電気工事店に相談されることをお勧めします。
※住宅用分電盤のメーカーや製造年によって、主幹ブレーカの表示や操作方法が異なることがありますが、ブレーカが以下のような表示になっていれば電気が流れている状態、または電気が流れていない状態を表します。
電気が流れている状態
電気が流れていない状態
停電した暗闇の中でもこれらの操作ができるように、住宅用分電盤が設置されている場所をあらかじめ把握しておくことをお勧めします。
*住宅用分電盤は玄関や洗面所、脱衣所などに設置されている場合が多いです。
施工上のトラブル対策
「電気」は現代社会において必要不可欠なものとなっています。
近年の電力需要は、景気の動向や気象状況によって年ごとに傾向は異なるものの、基本的には一次エネルギー総供給に占める電力部門への投入の割合(電力化率)は上昇する傾向にあり、引き続き増加基調にあります。また一般家庭においても、快適さや利便性を追求するライフスタイルの浸透により、電気器具の多様化、ICT・IoT機器の普及、カーボンニュートラルの実現に向けた住宅電源の多様化など、「電気」の重要性はますます高まっており、その電路には高い信頼性が要求されています。
「住宅用分電盤」(以下、「住宅盤」という。)は、引込口装置に広く使用されており、電気を管理する重要な役割を担っています。しかしながら、その施工状態や使用環境に起因するトラブルが少なからずあります。
こうした状況を踏まえ、(一社)日本配線システム工業会 住宅盤専門委員会では、事故などの防止を目的に住宅盤における具体的なトラブル事例とその対策をまとめました。
長期間、安定した電路を確保し、安全に「電気」を使用するためには、確実な施工はもとより、用途や使用環境にあわせた分電盤選び、適切な点検、使用期間に応じた交換を行う必要があります。
住宅盤の施工にあたっては、本資料を参考にしていただき、同じようなトラブルが起こらないよう充分ご注意ください。
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